日本人の食生活の欠陥

「後手の行政」の厚生労働省を動かした日本の現状

現代の食事の間違いぶりについてはこちらで紹介しているとおりですが。その間違いとは一口にいえば、動物性の食品の過剰(動物性蛋白質や動物性脂肪)、脂肪全体の過剰および脂肪全体の中での動物性のものと植物性のものの比率の悪さ(動物性のものの比率が高過ぎる)、自然な形の野菜や果物の少なさや砂糖の過剰、食品を過度に加工し過ぎることによる繊維やビタミン、ミネラル類の減少などといったものです。

こういう欠陥を是正し、より健康的で病気を起こさないための食事改善の方向を打ち出したのが、アメリカのマクガンレポートの食事改善目標(1977)やアメリカ農務省、保健福祉省などの食事改善ガイド、北欧三国連合医学会議の食事指針です。

イギリスその他の各国でも、国民に正しい食事・栄養知識の普及をはかる政策が打ち出されてきています。わが厚生労働省も遅ればせながら、昭和60年5月に「健康づくりのための食生活指針」をやっと打ち出しました。この指針は現在は「健康日本21」という指針として策定されています)

しかしいずれにせよ、なかなか現状の欠陥を認めたがらないわが国の公的機関も、ついにそれを認めざるを得ないほど問題が大きくなってきたことを「指針」の策定自体が示しているのです。

「指針」は日本人の食生活指針策定検討委員会が昭和59年11月に作成、翌年5月公衆衛生審議会に諮問、その答申を経て打ち出されたものです。そして、同審議会は「指針」の前書きで、栄養の過剰摂取や栄養摂取の偏りという新たな問題が生じていると述べています。

また「指針」を策定した理由を厚生労働省はつぎのように述べています。「がん、脳卒中、心臓病、糖尿病等の成人病の一層の増加が予想されるが、成人病については日頃の健康管理、特に適正な食生活の実践によって相当程度予防することができるこことから国民ひとりひとりが自覚を持ち、食生活の改善に努めることが重要である」

もう少し具体的に紹介すると、たとえば脂肪に関する項では「脂肪は量と質を考えて」と題してこんなふうにいっています。

「脂肪摂取の内訳をみると動物性の脂肪(魚類の脂肪を除く)の増加が目立ちます。植物性の脂肪および魚類の脂肪は動脈硬化を予防する作用があるのに対して動物性の脂肪は逆に動脈硬化を促進する作用があるので、脂肪は量だけでなく質についても十分考えることが大切です」

心臓病などの基因となる動脈硬化を防ぐには、脂肪の総量を現代風の食事より少なくすると同時に、動物性脂肪(飽和脂肪酸)と魚や植物性の脂肪(多価不飽和脂肪酸)の比率を1対2と後者を多くするのがいいとされています。しかし、量も質もそうなっていないのが先進国の食事です。(

専門家が数十年かけて調べた長寿村、短命村の比較研究やハワイの日系人一世と二世、三世の比較から警告し、学会や厚生当局がその警告に耳を傾けない頑迷さを嘆いたのは30年以上も前でした。それからすれば20、10年遅れたわが厚生当局の対応です。しかし、それはそれとしてわが国の問題とは、詳しくはどんな問題なのでしょうか?